外資テック企業で1年生き延びました


Published on May 07, 2023

大きめテック企業で生き延びた感想をお届けします!

会社の話

全世界フルリモート継続中です。最近はオフィス回帰の風潮が強まってるようですが、現時点ではまだまだフルリモートしてます。

  • 所属チームの同僚の居住国は、シンガポールと日本で2:1くらいです。国籍はバラバラ(インド、カナダ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ドイツ、日本)。フラっと他の国に滞在してそこで働く人もいます。
  • アメリカやヨーロッパとのミーティングがややしんどいです。どうしても午前早めか夜の時間帯になります。北米メンバーが全体の大多数なので、アジア時間で送ったメッセージにDMや返事が来るのが22時以降。もちろん翌日に返せばいいんですが、その場で返信した方がキャッチボールが早く終わるので返事する習慣がついてしまった気がします。

女性が多いです

  • 職種問わず女性が多いです。自分の所属チームは女性の方が比率が高いですね。今までずっと男性がほとんどだったので、初期は新鮮でした。

みんないい人です

  • この印象は1年経っても全く変わりません。サポート職の方やデザイナー、PdMから別チームのつよつよエンジニアなどいろんな方とやりとりありましたが、話せばわかるタイプの温和な人ばかりで、いつも助けてもらってます。とても過ごしやすいです。

仕事の話

入社前の希望だった『世界的に使われるプロダクトで、ユーザーが使う機能をゼロから作ってリリースするまでを経験したい』が達成できました。入社半年後のフィードバックでは一番いい評価がもらえ、下半期も割といいコメントが多いので、ある程度やれてるようです。

  • 今売り出し中の機能のα版開発から携わっており、一部機能のオーナーになりました。その機能に限っては、自分が8割以上作ってます。
  • 交渉の経験がそれなりにつきました。外部データ連携のために毎週ディスカッションして、APIの仕様を決めるところもやってます。異常系の対応フロー決めたり。インフラ系の変更が必要になった時には、社内の担当チームと交渉して機能拡張のapprovalをもらうなどもしました。既存機能とのすり合わせのため、ドキュメントをモリモリ書いてレビューもらってます。
  • 基本的にはバックエンド専業なんですが、フロントもちょっと開発してます。今まで手広く開発してた経験が活かせてるので、やっててよかった感があります。
  • 障害対応もチームでやります。大きい会社は障害対応班が控えてるのかなーと思ってましたが、アプリケーションレイヤのトラブルを各開発者が面倒みるのは、筋が通ってて好きです。

英語の話

未来永劫この苦労からは解放されないことが、しみじみと解らせられた1年でした。

  • マネージャーに多いんですが、早口の人がいると議論から置いてかれます。
  • ネイティブは会話表現が10倍くらい豊富なので、知らない慣用句が出てしょっちゅう置いてかれます。ドキュメントや会話ログを翻訳にかけることで仕事時間がさらに延びがち。とくに北米とインドとシンガポールの英語では表現の距離を感じます。
  • あと難しいのが、話者によって同じ単語でも意味するところのニュアンスが違う(自分が間違って覚えてる可能性も多分にあるが)ことでしょうか。第二外国語として勉強した人たちとはボキャブラリーが似通っていて話しやすいのですが。

結論、勉強し続けるしかないんですが、苦労しなくなるレベルに達するイメージが現状ありません。

  • 根本的には、そもそも人の話を聞くのが得意じゃないことが問題な気がします。学校の授業も寝てばっかりだったので。
  • 英語でやりとりするスタミナが足りてないです。1日4hもディスカッションするとブドウ糖売り切れるというか思考が完全停止します。チョコレートを携帯する?

エンジニアスキルの話

こういった、つよつよ人材が集まる企業でやっていけるか不安でしょうがなかったんですが、自分のスキルレベルでも仕事回す上で大きな支障はないというのが大きな収穫でした。

  • 今までの会社・チームでは大体人並みのエンジニアだったので、以前の同僚諸氏はだいたいやっていける気がします。開発業務自体が大きく変わることはないので、英語でのコミュニケーションさえ普通にとれれば、つよつよじゃなくても業務は普通に回せます。そりゃあつよいに越したことはないんですが。
  • 自分がどれくらいつよつよでないか:競プロは雑魚、Githubのリポジトリ全然充実してない、カンファレンス登壇も参加もろくにしてない、個人開発やプログラミングが趣味みたいなこともないです。米国留学とか米国大卒とかもないです。英語は得意科目だったのでそこそこですが、日本育ちで日本の大学・大学院卒です。
  • 本格的にプログラミング始めたのは大学院です。それでも修論で書いたプログラムのメイン関数は1000行ありました(関数分割を知らなかった、オブジェクト設計?なにそれ状態)。新卒で配属されたチームで、gitからLinuxからクラウドから全部教えてもらえたのが何よりでした。
  • 振り返ると改めてヤバいですね。もっとちゃんとしないと…

つよつよじゃないエンジニアの生き残り術みたいなものは少しずつ固まってきました。今までよく目にしてた記事だと、技術つよいマンが英語だけ頑張れば無双だぜ!みたいのが多くて参考にならなかったのですが(尊敬の対象ではありますが自分のスペックとの乖離が著しい)、技術も英語も平凡でも生きていけるぜ!というルートを進んでる気がします。もう少し強くなりたいです。

キャリアの話

やっぱマネージャー系はきついな〜という事前予測がピタリ賞です。語彙が古いですね

  • 上でも触れましたが、チームにいろんなバリエーションの英語と文化的背景を話す人がいて、効率的に情報集約できますか?各々と1on1して、全体ミーティングのときは会話のファシリして、要件と工数の調整をえらい人たちや他チームのマネージャーとやり合って。要はコミュニケーションハブにならないといけない。日本語でもいわんや、その微妙な舵取りをしてマネジメントによる成果を出す必要があるわけです。いやはや。日本人で外資マネージャー業務やってる人たち、ほんとうに尊敬します。
  • とくに交渉事はなかなかのハードルでしょう。キャパがいっぱいなので案件を他チームに渡す、障害対応ナレッジ共有して一緒に調査してもらう、進捗の遅れの説明して機能要件の調整を偉い人と擦り合わせる、とか。

ICとしてのキャリアに注力していますが、どこまでやれるか?

  • Seniorは割と現在の業務の延長線上にあるのですが、そこからStaffはちょっと毛色が違う印象です。テックリード的な側面が多分にあるので、人事面でのマネジメントはなくともチームの技術的議論の取りまとめや、他チームへのその共有や解決策のすり合わせといった業務があり、これまた現状のスキルセットだと現実味がありません。考えるためにこの本をポチってみました

在宅勤務の話

ここは割とよくある話に落ち着く気がします。

😊

  • ベランダで外の景色を見ながら仕事できる。在宅勤務を見越して、海と山がちょっとずつ見える家を選びました。ベトナムでのロックダウン時代、窓のない部屋で仕事しててメンタルやられたのを踏まえての改善です。
  • 休憩が取りやすい。トイレにいつでもいける。昼飯もどこでもいける。土日だと混む店も平日はすぐ入れて最高です
  • 仕事環境は過去一充実してます。電動昇降デスク、エルゴノミクス椅子、ちょっといいスピーカー、分割キーボード、猫。
  • 家事が片付けられる。炊飯、ルンバを動かす、洗濯乾燥機回す、などちょっとした家事が夜や土日に溜まっていかないのはいいですね

😫

  • 人とサク飯・サク飲みが十分にできてない。知り合いがいない土地&フルリモート&諸事情につき、人間関係の構築に失敗してます。オンラインに逃げつつありますが、やっぱり物理で会う方が自分は好きですね。
  • あさっての方向の技術的な話が入ってこない。オフィスにいると、聞いたこともない技術の話やカンファレンス報告、技術コミュニティ動向など全然知らない話が入ってきたな〜と思い出しますが、一人で情報をとりに行くとどうしても偏りがあってダメですね。スキルの幅が狭まっているのを感じます。
  • 上にも挙げましたが時差の問題がけっこう悪影響しています。夕飯食べた後に22時からミーティング、仕事スイッチのオンオフが順調にバグっている感があります。ずるずるSlack返してるともう日付が…あれ…?
  • 運動ゼロ。GW中にようやくプリズナートレーニング始めました。

在宅勤務は割と向いてる方だと思いますが、オフィス行きたい気持ちが常にあります。この生活を何年も続けたいか・続けられるかと言われると、無理があろうと思われます。どっかで出口を考えないといけないですね。

最後にAIの話

  • 長期的には、シンプルに失職の危機だと思っています。英語が達者でないフルリモートのアジア人って、AIにとって格好のリプレイス候補だと思うんですよね。何時間でも働けますし。AgentGPTとかヤバいすな。
  • ソフトウェアエンジニアリング自体をサービスとして提供しない、別の事業を始めたいなーと考え中です。自動化スキル等をフル活用することが強みとして活かせて、やってて楽しいナニカ。お金もついてくるとさらに嬉しい。考えます。

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